音符の裏側にあるもの?
高校の音楽史や音楽理論を教えてくれた先生方は博識で、音楽について深く掘り下げた内容を教えてくれる人達だった。
とても印象深かったのは「ある曲を演奏するためには、ただ音符を並べるだけでは無くて、楽譜や音符の裏側を読み取らなくてはいけないよ」という話。つまり、その曲の作曲家の人生や他の作品、時代背景、そして曲の理論的な分析が役に立つという訳だ。
その時も「そりゃそうだろうなぁ」と感銘を受けたからこそ覚えているんだけど、若かったし、ちょっと頭でっかちだったと思う。それがじわじわと浸透して、身体中で納得できるようになった。
洋服の柄も、モチーフと質感を見ただけで「あ!あのロンドンのメーカーの柄だ!」と分かる時があるけれど、作曲家にもその人特有のモチーフ、語り口がある。
それは、その人の生まれ育った地域に関連することもあれば、影響を受けた作曲家や演奏家、または性格など、いろいろな要素が絡み合って出来上がるのだろう。
ただ正確に音を出すだけでは機械と同じになってしまう。いくら楽譜通りに音の高さが変わっても、強弱を変えても、棒読みで抑揚が出ないとつまらない。楽譜と音符の裏側にあるものに想いを馳せ、そのイメージを膨らませることによって、人間らしく、そして演奏者の個性を乗せた音楽が可能になるのだと思う。
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